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餃子の王将、店舗ごとに違うレシピが生む現場力 ― 京都四条大宮から始まった権限委譲の文化
※本記事は書籍・新聞・自社IR・採用サイトなどの公開情報をもとに再構成した記事です。確認できない事実は記載していません。直接引用には出典を併記しています。
京都、四条大宮の交差点。付近に、餃子の王将の1号店がいまも立っています。ランチ時、頂上の厚い鉄鍋を振るう音と、焼きたての餃子の香りが店内に満ちます。全国に700店舗を超えるチェーンでありながら、この会社には「店ごとにメニューが違う」という不思議な特徴があります。それは偏差ではなく、意図された経営思想の現れでした。
四条大宮の中華料理店
餃子の王将は、1967年12月、京都市中京区の四条大宮に中華料理店「王将」として創業されました(王将フードサービス 公式・各報道)。創業者は加藤朝雄氏。1924年に福岡県に生まれ、戦争を中国で迎えた際に現地で味わった餃子を、日本で広めたいと考えたとされます。
加藤氏はさまざまな職を経て、「安い・旨い・はやい」を体現する中華料理店を始めました。餃子を看板に、学生や会社員の日常に安さと満足を提供する。その姿勢は広く支持され、1974年7月には「株式会社王将チェーン(現・株式会社王将フードサービス)」が設立されました。この時点で直営店15店、FC加盟店3店を受け継いだとされます(同社公式)。
「店ごとに違うメニュー」という常識破り
餃子の王将を語るうえで最も興味深いのが、店舗ごとの個性です。一般的なチェーンでは、どこの店でも同じメニュー・同じ味・同じ価格を提供することが品質保証とされます。ところが餃子の王将は、その逆を進んできました。
東洋経済オンラインはこの特徴を「店ごとにまったく違うメニューで勝負、関西発『常識破り』経営」と表現しています(東洋経済オンライン)。各店舗は地域の客層やニーズに合わせ、独自のメニューやセットを考案してきました。酢豚や焼きそばのタレまで店独自で作る例もあり、同じ「餃子の王将」でも味付けが微妙に異なるという状況が生まれました(各報道)。
権限を「店長に渡す」という設計
この個性を生んだのが、店長への権限委譲です。餃子の王将では、メニューの考案や価格設定だけでなく、アルバイトの時給やチラシを出す回数、さらには営業時間の設定に至るまで、店長に広い裁量が与えられてきたと伝えられます(各報道)。これは、本部がすべてを決める中央集権型チェーンとは正反対の発想です。
権限委譲には、現場を「代わりの効く作業員」ではなく「経営者」に育てる効果があります。自分の判断でメニューを出し、価格を決め、原価と売上のバランスに責任を持つ。その経験が、現場の人材を鍛えます。ただしこのモデルは、店長の能力に品質が左右されるリスクも含みます。それを支えるために、餃子や主要品目の品質基準は保ちながら、周辺のメニューで個性を許すというバランスが重要になります。
「のれん分け」に近い独立文化
現場重視の姿勢は、独立支援の仕組みにも表れます。餃子の王将のFC制度は、一般的な加盟型フランチャイズとは性格が異なります。同社によれば、現在のFCオーナーの半数以上は、自社社員が独立したものだとされます(王将フードサービス IR)。店舗で調理・接客・衛生管理・人材管理、そして王将の経営哲学を学んだ社員が、オーナーとして独立する。「のれん分け」に近いこの文化が、現場を育てる土壌になってきました。
一方で同社は、餃子など主力商品の品質を支える仕組みも整えてきました。現場の裁量と、チェーンとしての品質保証。この二つをどう両立させるかが、餃子の王将が長年向き合ってきた問いです。
過去最高への道のり
この現場主義は、近年の業績にも表れています。王将フードサービス(証券コード9936)の2024年3月期の売上高は、創業以来初めて1000億円を突破しました(流通ニュース ほか)。価格改定を行いながらも客数を伸ばしたと報じられており、2025年3月期中間期末時点では直営店とFCを合わせて700店舗を超える規模となっています(同社決算資料)。
全国チェーンとしての規模を拡大しながらも、「店ごとに違う」という独自性を手放さない。そのバランスの上に、餃子の王将の現場力は成り立っています。
現場の経営者が学べること
餃子の王将の歩みから、多くの飲食店が学べる原則があります。
第一に、標準化と現場裁量は対立しないという発想です。主力商品の品質は保ちながら、周辺のメニューで個性を許す。すべてを揃えるか、すべてを現場に任せるかの二択ではなく、境界線を引くという発想です。
第二に、権限委譲は人材育成の装置だということです。メニュー・価格・募集の決定権を店長に渡すことは、その人を「経営者として考える人」に変えます。人手不足の時代に、現場の自律性は大きな資産になります。
第三に、独立への道を示すことです。社員がオーナーへと独立できるという「のれん分け」に近い仕組みは、現場に長期的な動機を与えます。「ここで学べば、いずれ自分の店を持てる」という展望が、日々の仕事の質を変えます。
京都四条大宮の一軒から始まった餃子の王将は、「チェーンは均一であるべき」という常識に、現場の個性という別の答えを示してきました。
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📖 さらに深く知る(第3弾より)
参考・引用元
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A4%83%E5%AD%90%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%B0%86
https://recruit.ohsho.co.jp/originstory/
https://toyokeizai.net/articles/-/10305
https://ir.ohsho.co.jp/company/fc/