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飲食店開業計画書の書き方|創業計画書8項目の記入例とテンプレート
はじめに — 白紙の計画書を前に、手が止まったら
開業を決めた瞬間は高揚しますが、多くの人が最初につまずくのが計画書です。何をどの順で書けば融資に通るのか、白紙を前に手が止まる方は少なくありません。私が初めて創業計画書を書いたときも、担当者に三度突き返されました。ですが、書き方には明確な型があります。順番どおりに埋めていけば、自分の頭の中も自然と整理されていきます。本記事では日本政策金融公庫の創業計画書を軸に、飲食店ならではの書き込み方を、現場の感覚を交えて具体的に解説します。
本記事は2026年6月時点の制度・様式にもとづきます。融資制度や申請様式は改定されることがあります。申込の前に、必ず公式サイトで最新版をご確認ください。
なぜ計画書が必要なのか
計画書は融資審査の書類であると同時に、自分の事業を点検する道具です。頭の中の構想を数字に置き換えると、甘い部分がはっきり見えてきます。融資担当者は、夢の大きさではなく「返済できる根拠」を見ています。情熱は数字で語る、という姿勢が出発点になります。計画書は物件オーナーや共同経営者に見せる場面もあります。一度しっかり作れば、開業後の見直しの土台にもなります。
全体タイムライン — 開業6ヶ月前から逆算する
計画書づくりは、思い立った日から始めて早すぎることはありません。逆算で動くと迷いが減ります。
- 開業6ヶ月前:コンセプトを言語化し、数字の骨格を作る
- 開業5ヶ月前:競合調査と物件の目星。売上根拠の材料を集める
- 開業4ヶ月前:創業計画書を初稿まで仕上げる
- 開業3ヶ月前:日本政策金融公庫へ事前相談し、面談を予約する
- 開業2ヶ月前:融資を申込み、面談に臨む。結果は通常2〜3週間
- 開業1ヶ月前:着金を確認し、内装と仕入の最終発注へ進む
計画書は融資申込の3ヶ月前までに初稿があると、練り直す余裕が生まれます。一晩で書き上げた計画書は、面談で必ず見抜かれます。
創業計画書の8項目と、その書き方
日本政策金融公庫の創業計画書は8つの項目で構成されます。様式は公式サイトの「各種書式ダウンロード」から無料で入手でき、洋風居酒屋など業種別の記入例も公開されています。まずは本物の様式を手元に置いてください。
1. 創業の動機
「思いつきや勢いではない」と伝える項目です。業界での経験や、開業を決めた具体的なきっかけを書きます。前職での実績や、温めてきた構想を時系列で示すと説得力が出ます。
2. 経営者の略歴等
調理師免許、店長としての経験、原価や人の管理経験を具体的に記します。飲食の実務年数は、返済能力の裏づけとして特に重視されます。未経験なら、その不足をどう補うかまで書きます。
3. 取扱商品・サービス
看板メニュー、客単価、狙う客層を明確にします。競合調査にもとづく差別化の一行を言い切れると、計画書の質が一段上がります。「誰に・何を・なぜ選ばれるか」を意識してください。
4. 取引先・取引関係等
確保済みの仕入先名、締め日、支払条件を書きます。掛け取引の条件は運転資金の根拠に直結します。販売先が現金商売であることも、資金繰りの強みとして伝わります。
5. 従業員
3ヶ月以上継続して雇う予定の人数を書きます。社員とアルバイトの内訳、募集方法まで考えておくと、面談で言葉に詰まりません。
6. お借入の状況
住宅ローンや自動車ローン、カードの分割も正直に書きます。虚偽はほぼ必ず発覚し、信用を一度で失います。隠さない姿勢そのものが評価されます。
7. 必要な資金と調達方法
見積書にもとづいた設備資金と、2〜3ヶ月分の運転資金を積み上げます。「使い道」と「調達方法」の合計額は、必ず一致させます。ここがずれている計画書は、それだけで信頼を失います。
8. 事業の見通し
最も重要な項目です。売上は「客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数」で根拠を示します。たとえばランチが客単価1,000円・25席・1回転・月25日なら、月62.5万円です。そこから原価率、人件費、家賃、返済額を引き、何ヶ月目に黒字化するかを明記します。
事業の見通しは「月次の損益」で示す
事業の見通しは、年計ではなく月次で書くと説得力が増します。売上から原価・人件費・家賃・その他経費・返済額を順に引き、手元に残る額を示します。下は20席・客単価1,200円の小規模店の一例です。
- 売上:1,200円 × 25席 × 1.2回転 × 月26日 = 約94万円
- 食材原価(30%):約28万円
- 人件費(30%):約28万円
- 家賃(10%):約10万円
- 水道光熱・販促・その他(15%):約14万円
- 返済額:約8万円
- 手元に残る額:約6万円
この見通しを「開業当初」と「軌道に乗った後」の2段階で示すと、黒字化の道筋が伝わります。担当者は、この数字を自分の言葉で説明できるかを見ています。
概算費用表 — 「必要な資金と調達方法」の記入例
小規模店(10坪・席数20前後)の一例です。実額は必ず見積書で置き換えてください。
日本政策金融公庫の2024年度新規開業実態調査では、開業費用の平均は985万円、自己資金は平均293万円(調達額の24.5%)でした。自己資金は総額の2〜3割が一つの目安になります。
融資面談で必ず聞かれること
面談は15〜30分ほどで、計画書の数字を口頭で確認する場です。私が聞かれて答えに詰まったのは、次の3点でした。
- なぜこの立地・この業態なのか(競合との差別化)
- 売上の根拠(回転数と客単価は妥当か)
- 想定より売れないときにどうするか(資金の余力)
数字の裏に「自分の判断」があるかが問われます。暗記ではなく、理解して臨むことが大切です。
計画書づくりで使える公的サポート
一人で抱え込む必要はありません。商工会議所や商工会では、創業計画の無料相談を受けられます。各地のよろず支援拠点や、日本政策金融公庫の創業サポートデスクも活用できます。第三者に数字を見てもらうと、自分では気づけない思い込みが見えてきます。
よくある失敗と、その回避法
- 売上が過大:席数や回転数に対し非現実的。→ 近隣の実勢を見て回転数を保守的に置く
- 根拠の不足:「頑張れば売れる」では通らない。→ 数式で一つずつ積み上げる
- 収支が合わない:使い道と調達の合計がずれる。→ 提出前に必ず合計を突き合わせる
- 記入例の丸写し:面談で説明できず逆効果。→ 自分の言葉と数字に置き換える
- 専門用語の多用:審査担当に伝わらない。→ 中学生にも分かる言葉で書く
- 自己資金が薄い:開業費用に対し不足。→ 半年以上かけて2〜3割を貯める
- 見積もりが甘い:内装や機器の額が実勢とずれる。→ 複数社の見積書を根拠にする
面談で落ちる人の多くは、書いた数字を自分の口で説明できない点でつまずきます。借りた言葉ではなく、自分の言葉で語れるかが分かれ目です。
提出前チェックリスト
次の一歩
計画書の骨格ができたら、次は資金の組み立てです。融資・補助金・自己資金をどう配分するかで、開業後の資金繰りが大きく変わります。続編の「飲食店の資金調達」で、調達手段ごとの特徴と使いどころを具体的に解説します。
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参考・引用元
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html
- 日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」
- 弥生株式会社 資金調達ナビ「飲食店の創業計画書の書き方」 https://shikin.yayoi-kk.co.jp/study/borrowing/restaurant-plan.html
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