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店名の商標登録は必要か
「店名は商標登録したほうがいいですか」という相談は、開業準備中の方からも、人気が出てきた店からも届きます。結論は店の状況しだいで、すべての店に必須というわけではありません。一方で、登録を後回しにした結果、他者に同じ名前を先に押さえられて使えなくなる例もあります。本記事では、特許庁の制度をもとに費用や区分、先願主義の考え方を整理し、自店が登録すべきかを判断するフローまで示します。料金や制度は改正されるため、出願前に特許庁の最新情報を確認してください。
商標登録とは何を守る制度か
まず制度の輪郭をつかみます。店名のどこを守るのかを理解すると判断が早まります。
店名・ロゴを独占的に使う権利
商標登録は、指定した商品やサービスについて、その名称やロゴを独占的に使う権利を国に認めてもらう制度です。登録すると、似た名前を他者が同じ分野で使うことを止められます。
飲食店は第43類が基本
商標は「区分」というカテゴリーごとに登録します。店内で飲食物を提供するサービスは第43類に該当します。物販やECで食品を売るなら、その商品の区分(食品なら第29類・第30類など)も検討対象になります。
先に出した人が勝つ「先願主義」
日本は先願主義を採り、同じ商標は先に出願した人が登録できます。長く使っているかどうかではなく、出願の早さが優先されます。だからこそ早めの確認と出願に意味があります。
費用はいくらかかるか
判断材料として費用感を押さえます。特許庁に払う金額は区分の数で決まります。
出願料と登録料(特許庁への費用)
特許庁に支払う出願料は3,400円+(8,600円×区分数)です。登録が認められた後の設定登録料は、5年分が17,200円×区分数、10年分が32,900円×区分数です(特許庁、料金は要最新確認)。第43類1区分なら出願料12,000円、登録料(10年分)32,900円が目安です。
弁理士に頼む場合の手数料
特許庁への費用とは別に、弁理士に依頼すると手数料がかかります。事前調査から出願、中間対応まで含めて区分ごとに数万円規模が一般的です。自分で出願すれば手数料は不要ですが、調査や拒絶対応は自己責任になります。
更新でブランドを継続保有
商標権は10年ごとに更新でき、更新を続ける限り保有し続けられます。長く使う屋号ほど、登録の費用対効果は高まります。
J-PlatPatで先に調べる
出願の前に、同じ・似た商標が既にないかを調べます。無料で誰でも使えます。
J-PlatPatは特許庁系の無料DB
J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で、登録済み・出願中の商標を検索できます。店名の文字列に加えて、読み(称呼)が似た商標も探せる機能があります(特許庁)。
出願直後は反映に時間差がある
出願された商標がデータに反映されるまで数週間から1〜2か月の時間差があるとされます。検索でヒットしないことが「空いている」ことの完全な保証にはならない点に注意します。
不安なら専門家の調査を
似ているかどうかの判断は専門的です。多店舗展開やフランチャイズを見据えるなら、出願前に弁理士の調査を受ける手があります。
取らないとどんなリスクがあるか
登録しない判断もありますが、リスクは把握しておきます。
他者の登録で使用差止を受ける
同じ名前を他者が先に第43類で登録すると、こちらの使用が差し止められ、看板やメニュー、SNSアカウントの名称変更を迫られる恐れがあります。先願主義のため「先に使っていた」という主張が通るとは限りません。
早期審査で急ぐ選択肢
第三者の無断使用や警告など緊急性があり、かつ商標を既に使用または使用準備中であれば、早期審査を申し出られます。通常より早く、平均2か月程度で最初の審査結果が出るとされています(特許庁)。
登録すべきかの判断フロー
自店の状況を上から順に当てはめます。
- 多店舗展開やフランチャイズを計画 → 登録の優先度が高い。先に押さえる価値が大きい
- ECや物販で店名ブランドの商品を売る → 飲食の第43類に加え、商品区分も検討する
- 地域名+一般名称だけの店名(例:「○○町食堂」)→ 識別力が弱く登録が難しい場合がある。専門家に相談する
- 当面1店舗のみで屋号への投資も小さい → まずJ-PlatPatで他者登録の有無だけ確認しておく
- 既に第三者の無断使用や警告がある → 早期審査も視野に、急いで出願を検討する
まとめ
飲食店の店名は第43類が基本で、日本は先願主義のため早めの確認が効きます。
特許庁への費用は区分数で決まり、1区分なら出願と登録で数万円台が目安です。
まずJ-PlatPatで他者登録を調べ、多店舗やEC展開なら登録を前向きに検討する手があります。
📖 さらに深く知る(第3弾より)
参考資料
- 特許庁「産業財産権関係料金一覧」https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html
- 特許庁「商標早期審査・早期審理の概要」https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/shkouhou.html
- 特許庁「商標を検索してみましょう」https://www.jpo.go.jp/support/startup/shohyo_search.html
- 特許情報プラットフォーム J-PlatPat https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
※料金・制度は改正される場合があります。本記事の数値・制度は記事作成時点のもので、最新の内容は特許庁の一次情報でご確認ください。