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数値経営

月次PLの読み方|飲食店オーナーが押さえる損益計算書の見方

毎月、税理士から渡される試算表を、数字を眺めるだけで閉じていませんか。月次の損益計算書(PL)は、専門家のためではなく、経営者が次の一手を決めるための地図です。読み方さえ身につけば、どこに利益が漏れているかが見えてきます。この記事では、売上から営業利益までの流れを上から順にたどり、FL比率損益分岐点といった飲食店ならではの指標を、計算式と計算例つきで解説します。公的統計の目安や業態ごとの違いも示しますので、自店の数字と並べて読み進めてください。

損益計算書(PL)は「上から下へ」読む

PLは、売上を一番上に置き、そこから費用を順に引いていく構造です。各段階で残る利益の意味を理解すると、どこで利益が削られているかが特定できます。

売上総利益(粗利)までの流れ

売上高から原価(食材費)を引いたものが売上総利益、いわゆる粗利です。飲食店の原価率は一般に30%前後が目安とされますが、業態で大きく変わります。粗利が薄いと、その下の段階でいくら頑張っても利益は残りません。

営業利益までの流れ

粗利から人件費、家賃、水道光熱費、広告費などの販管費を引くと営業利益が出ます。これが本業で稼いだ利益です。月次PLでは、この営業利益が黒字か赤字かをまず確認します。

経常利益・当期純利益の位置づけ

営業利益から借入金利息などを引くと経常利益、さらに税金を引くと当期純利益になります。返済負担の重い店では、営業利益が黒字でも経常利益が薄くなることがあります。返済の影響はこの段階で見えてきます。

飲食店の生命線「FL比率」の読み方

FL比率は、飲食店の収益性を一目で測れる指標です。月次PLを見るとき、まずここをチェックする経営者は少なくありません。

FL比率とは何か

FLのFはFood(食材費)、LはLabor(人件費)を指します。FL比率は、この2つの合計が売上に占める割合です。飲食店のコストの大半をこの2項目が占めるため、ここを管理できれば利益はおのずと見えてきます。

計算式と計算例

計算式は次のとおりです。

FL比率(%) = (食材費 + 人件費) ÷ 売上高 × 100

例として、月の売上高が300万円、食材費が99万円、人件費が75万円の店を考えます。

FL比率 = (99万円 + 75万円) ÷ 300万円 × 100
      = 174万円 ÷ 300万円 × 100
      = 58%

この店のFL比率は58%です。

FL比率の目安と公的データ

一般にFL比率は60%以下が望ましいとされ、内訳の目安はFood35%・Labor25%程度といわれます。なお、収益性は業態で差が大きく、日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」(2020年版)では、そば・うどん店の利益率が6%と比較的高い一方、輸入食材の比率が高いカレーや韓国料理の業態は1〜2%台にとどまる例が示されています。自店の数値はこうした目安と照らして判断します。

損益分岐点で「あといくら売ればよいか」を知る

損益分岐点は、利益がちょうどゼロになる売上高です。これを把握すると、毎月の売上目標に根拠が生まれます。

固定費と変動費を分ける

まず費用を、売上に関係なくかかる固定費(家賃、正社員人件費など)と、売上に応じて増える変動費(食材費、アルバイト人件費など)に分けます。この区分が損益分岐点計算の前提になります。

計算式と計算例

計算式は次のとおりです。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ (1 - 変動費率)
変動費率 = 変動費 ÷ 売上高

例として、固定費が120万円、売上高300万円に対し変動費が120万円の店を考えます。

変動費率 = 120万円 ÷ 300万円 = 0.4
損益分岐点売上高 = 120万円 ÷ (1 - 0.4)
             = 120万円 ÷ 0.6
             = 200万円

この店は月200万円を売れば収支トントンで、それを超えた分が利益になります。現状の売上300万円は損益分岐点を100万円上回っており、余裕があるとわかります。

業態別に見るPLの着眼点

どの数字を重く見るかは、業態によって変わります。自店の利益構造に合わせて、優先順位をつけましょう。

居酒屋・ダイニング

ドリンクは原価率が低く、粗利を押し上げます。フードとドリンクの原価率を分けて見ると、利益の源泉が明確になります。人件費は、ピークに合わせた過剰なシフトになっていないかを月次で点検します。

カフェ・喫茶

客単価が低い分、家賃比率の管理が重要です。売上に対する家賃が10%を超えると利益が出にくくなる傾向があります。坪あたりの売上を意識し、席効率を高める工夫が効きます。

ラーメン・定食店

原価率が高めになりやすい業態です。粗利率の改善余地が大きいため、原価率の月次推移を必ず追います。回転数が落ちると一気に利益を失うため、人件費とのバランスを見ます。

フレンチ・コース主体店

客単価が高く、原価率を抑えやすい一方、人件費(技術職)が重くなりがちです。営業利益段階での人件費比率を重点的に見て、コースの価格設定が原価と手間に見合っているかを検証します。

まとめ

  • PLは売上から費用を上から順に引き、各段階の利益の意味を理解して読む
  • FL比率は(食材費+人件費)÷売上高で、60%以下が一つの目安
  • 損益分岐点を計算すれば、毎月あといくら売ればよいかが数字で見える

明日からの一歩として、直近の月次試算表を開き、まずはFL比率を一度だけ計算してみてください。自店の立ち位置がわかると、次に手をつけるべき費用が見えてきます。

📖 さらに深く知る(第3弾より)

参考資料


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