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数値経営

人件費率の適正値とコントロール法|シフトと生産性で整える手順

人手が足りないのに、人件費は重い。この二つの悩みが同時に起きているのが、今の飲食店の現実です。最低賃金は上がり続け、しかしスタッフを減らせばサービスが回らない。だからこそ、人件費を「削る」ではなく「整える」視点が要ります。この記事では、人件費率の適正値の目安と、人時売上やシフト設計でコントロールする手順を計算例つきで示します。スタッフの時間を削る話ではなく、同じ人員でどれだけ売るかを上げる話として読んでください。

人件費率の基本

計算式と含めるべき項目

人件費率は次の式で出します。

人件費率(%) = 人件費 ÷ 売上高 × 100

人件費には、アルバイト賃金と社員給与だけでなく、社会保険料の会社負担分、賞与、賄い費、交通費まで含めて見るのが原則です。この「隠れた人件費」を見落とすと、実態より低く見えてしまいます。

適正値の目安

飲食店の人件費率は一般に25〜30%が一つの目安とされ、原価率と合わせたFL比率で60%以下に収める考え方が一般的です。ただしこれは業界の経験則であり、公的に定められた基準ではありません。手作り中心の業態は高め、オペレーションを絞った業態は低めになります。

人件費率だけを見てはいけない理由

人時売上というもう一つの目

人件費率を下げるだけなら、シフトを削れば達成します。しかしそれでサービスが落ち、売上が下がれば本末転倒です。そこで使うのが人時売上、つまり「スタッフ1人・1時間でいくら売ったか」です。

人時売上 = 売上高 ÷ 総労働時間

両方を並べて見る

人件費率と人時売上を並べると、「人件費率は高いが人時売上も高い」なら生産性は悪くない、と判断できます。逆に人件費率が低くても人時売上が低ければ、人は足りているのに売上がついてこない状態です。

シフトでコントロールする

需要にシフトを合わせる

曜日と時間帯ごとの売上を見て、人員を需要に合わせます。ピークに厚く、アイドルタイムに薄く。ピーク前後の15分単位の出退勤を調整するだけで、サービスを落とさずに人件費を圧縮できます。

多能工とスキルの可視化

ホールとキッチンの両方をこなせるスタッフが増えると、少人数でまわせる力が上がります。誰が何をできるかを一覧にし、シフトの穴を埋められる人を育てるのが、遠回りに見えて効く手です。

最低賃金上昇への向き合い方

上昇分を数字で把握する

2025年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で時給1,121円となり、前年度から66円の引上げとなりました(厚生労働省、令和7年)。時給50円の上昇でも、月200時間のシフトなら月10,000円、スタッフ5人で月約5万円のコスト増です。まずこのインパクトを試算します。

価格と生産性で受ける

上昇分をすべて人員削減で受けると、サービスが崩れます。一部を価格改定で、一部を生産性向上で受けるのが現実的です。値上げの伝え方は別記事で詳しく扱います。なお、最低賃金は毎年改定されるため、必ず厚生労働省の最新公表で確認してください。

【テンプレート】人件費コントロールシート

■ 入力
売上高:______円
人件費(賃金+給与+社保+賞与+賄い+交通費):______円
総労働時間:______時間

■ 計算
人件費率 = 人件費 ÷ 売上 = ____%(目安 25〜30%)
人時売上 = 売上 ÷ 総労働時間 = ______円/時

■ 判定
□ 人件費率高×人時売上高 → 業態特性。価格で調整
□ 人件費率高×人時売上低 → シフトと配置を見直す
□ 人件費率低×人時売上低 → 売上を伸ばす余地あり

人件費率と人時売上をセットで見るだけで、打つべき手が「シフト」なのか「売上」なのかが分かれます。

まとめ

  • 人件費率の目安は25〜30%だが、業態で動くため自店の基準を持ちましょう。
  • 人件費率と人時売上を並べれば、生産性が高いか低いかを判断できます。
  • 最低賃金上昇は金額を試算し、価格と生産性の両方で受けましょう。

明日から動ける一歩:先月の売上と総労働時間から、人時売上を一度出してみてください。曜日・時間帯ごとに見ると、人を厚くすべき時間と薄くできる時間が見えてきます。


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参考資料

※最低賃金は毎年改定されます。本記事の金額は2025年度(令和7年)改定値ですが、応募・シフト設計時は厚生労働省の最新公表で確認してください。