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法令

個人飲食店、何を経費にできる?

レジをしめて一日を振り返ると、手元にはレシートの山。これは経費にできるのか、これはダメなのか。手が止まってしまうことはありませんか。個人で飲食店を営むと、仕入れから家賃、自分の食事まで、お金の出ていく先が入り交じります。だから「どこまでが仕事の出費なのか」の線引きが難しいのですね。ここでは、経費の考え方を法律と国税庁の見解にそって、一緒にやさしく整理していきます。

質問(Q)の整理

ご相談の中身は、「そもそも経費とは何か」「自宅兼店舗や携帯、車のように仕事と生活が混ざるものはどう扱うのか」「高額の設備を買ったときは一括で落とせるのか」といった点に集約されます。さらに、青色申告をしているかどうかで、使える特例が変わってきます。まずは、経費の土台となるルールから見ていきましょう。

結論(A)

結論としては、「その売上を得るために必要な支出」は原則として経費にできます。食材原価、家賃、水道光熱費、人件費、広告費などが代表例です。一方で、生活費や自分の食事代、所得税・住民税の本人分は経費にできません。自宅兼店舗の家賃や携帯代など仕事と生活が混在するものは、事業に使った割合だけを「家事按分」して計上します。高額な設備は原則減価償却で分けて落としますが、青色申告なら特例も使えます。

法的根拠

経費の出発点は所得税法第37条です。ここでは必要経費を、売上原価など「総収入金額を得るために直接要した費用」と、その年の販売費・一般管理費など「業務上の費用」としています(国税庁タックスアンサーNo.2210)。経費に計上できるのは、原則としてその年に「債務の確定」した金額です。

一方で同法第45条は、家事費・家事関連費を原則経費にしないと定めています。ただし施行令第96条と所得税基本通達により、業務遂行上必要な部分を明らかに区分できれば、その分は経費にできます。これが家事按分の根拠です。青色申告者はこの区分が比較的認められやすいとされます。

高額の設備は減価償却で扱います(No.2100)。取得価額10万円未満はその年に全額経費、取得価額10万円以上20万円未満は一括償却資産として3年均等に、それ以上は法定耐用年数で償却します。さらに青色申告の中小事業者は、取得価額30万円未満の資産をその年に全額経費にできる特例があります(年間合計300万円が上限、No.5408)。

具体的な対応ステップ

まず、「その支出は売上のためか」を基準に、レシートを仕事用と生活用に分けて保管します。仕事用には、何のための支出かをメモしておくと安心です。次に、自宅兼店舗の家賃や電気代、携帯代、車の費用などは、床面積・使用時間・走行距離など合理的な基準で事業割合を決め、その根拠を記録します。按分の考え方を一度決めたら、毎期同じ基準で続けるのがコツです。そして、レジスターや厨房機器など高額の買い物は、金額を見て一括経費か減価償却か、青色の特例が使えるかを確認します。

ケース別の判断

同じ食材でも、お客さまに提供する料理の材料は経費、自分が食べる分は生活費となります。新メニュー開発のための試作は、業務のためなので経費にできます。制服は、店名ロゴ入りなど仕事専用とわかるものなら経費にしやすく、普段着もできる服は議論の余地が残ります。接待交際費は、取引先など業務関係者との飲食なら経費ですが、友人との食事は含められません。生計を一にする親族への家賃・給与は原則経費にできず、青色事業専従者給与の手続きをとった場合に例外が認められます。

専門家に相談すべき境界線

家事按分の割合が妥当か、高額な設備の償却方法をどう選ぶか、青色申告特別控除の65万円を狙えるか。こうした判断は、税額に大きく関わります。検査で「この按分は不自然」と指摘されると、追徴のリスクもあります。金額が大きいときや近いときは、早めに税理士にご相談ください。個別の判断は事情によって変わりますので、最終的には税理士・専門家へのご相談をおすすめします。


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参考・引用元