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法令

家賃が払えない時の選択肢は?

売上が思うように伸びず、家賃の支払日が近づくたびに胃が痛む。そんな思いを抱えていらっしゃる飲食店の方は、決して少なくありません。家賃の滞納は、放っておくと最終的にお店の明渡しにつながります。けれども、早めに動けば取れる選択肢はいくつもあります。この記事では、まず落ち着いて状況を整理し、何ができるのかを一緒に考えていきます。

質問(Q)の整理

ご相談で多いのは、次のような点です。

  • 何か月滞納すると、契約を解除されてしまうのか。
  • 大家さんに支払いを待ってもらうことはできるのか。
  • 払えないまま放置すると、どうなるのか。
  • どこに相談すればよいのか。

ひとつずつ見てまいります。

結論(A)

結論として、家賃の滞納が直ちに契約解除につながるわけではありません。一度の遅れだけで追い出されることは、まずありません。

ただし、滞納が積み重なり、貸主との信頼関係が壊れたと判断される段階になると、契約は解除され得ます。大切なのは、その前に貸主へ相談し、支払いの組み直し(リスケ)を交渉することです。資金繰りが厳しいなら、債務整理という選択肢もあります。一人で抱え込まないことが何より重要です。

法的根拠

賃貸借契約の解除には、「信頼関係破壊の法理」という考え方が関わります。これは最高裁でも採られている考え方で、賃貸借のような継続的な契約は当事者の信頼関係を基礎とするため、その信頼関係が壊れて初めて解除が認められる、というものです。

実務上は、特別な事情がなければ、3か月分程度の滞納があり、催告しても支払わない場合に解除が認められるケースが多いとされます。もっとも、これは絶対的な基準ではありません。たとえば東京地裁平成19年8月31日判決は、2か月程度の遅滞が恒常的に続いた事案で、信頼関係が破壊されたとして解除を認めています。

判例は、賃貸借期間の長短、不払いの程度、滞納に至った事情など、一切の事情を総合的に考慮して判断するとしています。「2か月までは絶対に大丈夫」と油断するのは禁物です。

具体的な対応ステップ

  1. まず滞納額と今後の資金繰りを正確に把握します。
  2. 放置せず、早い段階で貸主や管理会社へ事情を伝え、支払い計画を相談します。
  3. 分割払いや一時的な減額・猶予など、現実的な提案を用意します。
  4. それでも資金繰りが立たない場合、債務整理(任意整理・民事再生など)を検討します。
  5. 早めに弁護士や法テラス、商工会・中小機構などの相談窓口を活用します。

ケース別の判断

一時的な資金不足の場合。事情を正直に伝え、分割や猶予を交渉すれば、応じてもらえることもあります。誠実な対応が信頼関係の維持につながります。

事業は続けたいが負債が重い場合。民事再生などで、事業を続けながら負債を整理できる可能性があります。

督促を無視して放置した場合。催告、契約解除、明渡し請求、強制執行へと進みます。早い段階で動くほど選択肢は広がります。

専門家に相談すべき境界線

貸主との初期の相談やリスケの打診は、ご自身で始められます。ただし、契約解除を通告された、訴訟を起こされた、債務整理を検討する段階になったら、対応を誤ると事業の存続に直結します。

こうした場面では、すぐに弁護士や法テラス、中小機構などへご相談ください。収入が一定基準以下なら法テラスの無料相談も利用できます。最終的なご判断は、必ず専門家にご確認いただくことをおすすめします。


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参考・引用元