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法令

インボイス未登録の仕入先と取引していい?

地元の農家さんや小さな酒販店など、長くお世話になっている仕入先が「インボイスには登録していない」というケースは珍しくありません。「このまま取引を続けて大丈夫だろうか」「うちの納税が増えてしまうのでは」とご不安なお気持ち、よくわかります。結論を先に申し上げると、取引そのものは問題ありません。ただし、消費税の負担と、価格交渉の進め方には知っておくべき注意点があります。一緒に確認していきましょう。

質問(Q)の整理

ご相談の趣旨はこうです。「仕入先がインボイス(適格請求書)を発行できません。取引を続けてよいのでしょうか。続けると、うちの消費税の負担は増えますか。価格の見直しをお願いしても問題ないでしょうか」。ここには税務上の論点(仕入税額控除)と、取引上の論点(独占禁止法・下請法)の2つが含まれています。分けて考えると整理しやすくなります。

結論(A)

インボイス未登録の仕入先と取引することは、法的に何ら禁止されていません。お付き合いを続けて差し支えありません。ただし、相手がインボイスを発行できないと、原則としてその仕入分の消費税を控除できず、あなたのお店の納税額が増える可能性があります。これを和らげるのが「経過措置」です。さらに、控除できない分を理由に一方的に値下げを通告すると、独占禁止法や下請法で問題になるおそれがあります。

法的根拠(条文・通達・判例)

まず税務面です。免税事業者など適格請求書発行事業者以外からの仕入れについては、消費税法の経過措置により一定割合の仕入税額控除が認められています。当初は2023年10月から3年間が80%控除でしたが、令和8年度税制改正で見直されました。国税庁の公表によると、2026年(令和8年)10月1日から2028年9月30日までが70%、2028年10月から2030年9月までが50%、2030年10月から2031年9月までが30%の控除となり、その後に経過措置は終了します。なお、一の免税事業者からの課税仕入れが年間1億円を超える部分には、この経過措置は適用されません(2026年10月1日以後に開始する課税期間から)。

次に取引面です。公正取引委員会の「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」では、控除できない消費税分について、仕入先と協議せず一方的に取引価格を据え置いたり引き下げたりすると、独占禁止法上の優越的地位の濫用や下請法上の買いたたきにあたるおそれがあるとされています。

具体的な対応ステップ

はじめに、その仕入先からの年間仕入額を把握し、控除できない消費税分が自店にどれだけ影響するかを試算します。経過措置の70%控除を踏まえると、当面の負担増は限定的なことが多いです。

次に、価格を見直したい場合は、必ず仕入先と「協議」してください。一方的な通告は避け、互いの消費税負担を踏まえて双方納得のうえで価格を決めることが大切です。公取委も、双方納得のうえであれば結果的に値下げになっても問題ないとしています。やり取りは記録に残しておくと安心です。

ケース別の判断

仕入先が地域の小規模農家など免税事業者の場合は、経過措置を前提に取引を継続するのが現実的です。仕入額が大きく負担が重いなら、まず相手にインボイス登録の意向を確認し、登録しない場合の価格を「相談ベース」で調整します。

相手が課税事業者に転換するケースでは、新たに生じる納税分を一方的に価格に押し付けないことが重要です。あなたのお店が取引上優越した立場にあるほど、配慮が求められます。

専門家に相談すべき境界線

仕入税額控除の具体的な計算方法や、自店にとっての有利不利の判断は税理士へ。価格交渉が優越的地位の濫用や買いたたきにあたらないかという線引きは、弁護士や公正取引委員会の窓口へご相談ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断に代わるものではありません。迷ったときは、必ず専門家の確認を受けてください。


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参考・引用元