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法令

予約のドタキャンに違約金請求できる?

準備万端で待っていたのに、予約のグループが連絡もなく現れない。「あの席を断ったのに…仕込みた食材も無駄になった、違約金を請求したい」。そのお気持ちは当然です。ドタキャンはお店に実害を与えます。ただ、請求できるかどうかは、事前の準備と金額の決め方で大きく変わります。ここで整理しておきましょう。

質問(Q)の整理

ご相談は三つの点に分かれます。「そもそも請求できる法的根拠があるのか」、「いくらまで請求できるのか」、そして「実際に回収するには何が必要か」です。

あなたのお店がコース予約を受けているなら、請求の根拠は比較的はっきりしています。一方、席のみの予約の場合は考え方が異なりますので、順番に見ていきましょう。

結論(A)

結論から申し上げます。予約は内容が確定すれば、その段階で契約が成立します。無断キャンセルは債務不履行にあたり、民法415条に基づいて損害賠償を請求できます。したがって、違約金(キャンセル料)の請求は原則として可能です。

ただし金額には上限があります。相手が一般の消費者なら、請求できるのは「平均的な損害」の範囲までで、それを超える部分は無効です。そして、その請求を現実に通すには、予約時のポリシー明示が鍵になります。

法的根拠(条文・通達・判例)

まず民法415条です。「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき…債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」と定めています。予約も契約ですから、ノーショーはこの債務不履行にあたります。

次に民法420条です。当事者はあらかじめ損害賠償の額を予定でき、違約金は賠償額の予定と推定されます。つまりキャンセルポリシーで金額を定めておくことは可能です。

ただし、相手が消費者の場合は消費者契約法9条が上限をかけます。キャンセル料が「同種の契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える」部分は無効となります。画一的な高額設定は超過分が請求できなくなる点に注意が必要です。

なお、経済産業省の研究会が2018年に公表した「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」は、業界全体の損害を年間約2,000億円と推計しました。その中で、料金が確定しているコース予約は料金全額が、席のみの予約は平均客単価を参考に(転用可能な費用を控除して)賠償額の目安になると示されています。

具体的な対応ステップ

まず、キャンセルポリシーを明文化します。「何日前から、いくら」という料率と発生条件を決めておきます。次にそのポリシーを予約時に必ず伝え、同意を取ります。電話なら口頭で伝えて記録を残し、ネット予約なら画面に明示します。

予約時の明示と同意がないまま事後に一方的に請求しても、争いになりやすく回収も難しくなります。明示と記録が、いざというときの最大の武器になります。リコンファーム電話や事前決済の導入も有効です。

ケース別の判断

コース予約で料金が確定している場合は、料理代金の全額が目安です。ただし仕込み前で転用できる食材があれば、その分は控除される余地があります。席のみの予約なら、平均客単価を基準に、転用可能な費用を差し引いた額(実務では客単価の5割程度と紹介されることが多い)が目安です。

時期でも判断は変わります。当日・直前のキャンセルは、仕入れも人員配置も済んで損害が大きく、高めの料率も合理的です。逆に数日前のキャンセルは仕入調整が効くため、低率か無料とするのが合理的です。「平均的な損害」を時期区分ごとに考えるのがコツです。

専門家に相談すべき境界線

高額なコースや団体予約のドタキャン、相手が支払いを拒んでいるケース、キャンセルポリシーの料率設定そのものを見直したい場合は、専門家の目を入れると安心です。平均的な損害の算定は、業態や客単価で個別性が高いからです。

実際の回収や訴訟を考える段階では、最終的には弁護士へのご相談をおすすめします。ポリシーの設計段階から相談しておくと、いざというときの請求がずっとしやすくなります。


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参考・引用元