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外国人スタッフを雇うときの税金は?
外国人スタッフを初めて雇うとき、「税金は日本人と同じでいいのかな、源泉徴収はどうなるのかな」と不安になる店長さんは多いです。お気持ちはよくわかります。実は「居住者か非居住者か」で扱いが大きく変わります。ここを押さえれば、だいぶ見通しがよくなります。順番に見ていきましょう。
質問(Q)の整理
ご相談は、それぞれ性格の違う四つの税・手続きに分かれます。所得税の源泉徴収、住民税、租税条約による免税、そして在留資格との関係です。そのすべての出発点が、「居住者か非居住者か」の区分です。
あなたのお店が雇うスタッフが、コックとして長期勤務するのか、短期の留学生アルバイトなのかでも考え方が変わります。まず区分からです。
結論(A)
結論から申し上げます。国内に生活の本拠があり、1年以上勤務するようなスタッフは「居住者」にあたり、原則として日本人と同じように甲・乙欄で源泉徴収し、年末調整も行います。住民税もかかります。
一方、国内に住所がなく滞在期間も1年未満の「非居住者」は、国内勤務に対する給与に20.42%の源泉分離課税となり、年末調整はありません。ただし租税条約や在留資格の論点が絡むため、個別の確認が必要です。
法的根拠(条文・通達・判例)
まず区分です。所得税法上、居住者とは「国内に住所を有し、または、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人」をいい、非居住者は「居住者以外の個人」です(国税庁 No.2875)。「住所」は生活の本拠を指し、在留資格の種類だけで機械的に決まるわけではありません。
非居住者の給与については、国税庁 No.2884 が「給与その他人的役務の提供に対する報酬…:20.42パーセント」と明記しています。これは所得税20%に復興特別所得税(2.1%)を上乗せした率です(20%×1.021=20.42%)。そして、給与を支払う雇用主は源泉徴収義務者となります(No.2502)。
住民税はその年1月1日現在の住所地で、前年の所得に課税されます。雇用主は翌年1月31日までに給与支払報告書を各市区町村に提出します(地方税法317条の6)。年度途中で帰国する場合は、出国前に納税管理人を定めて届け出る必要があります。
具体的な対応ステップ
まず、採用時にそのスタッフが居住者か非居住者かを確認します。在留資格や在留期間、生活の拠点が日本にあるかを見ます。居住者なら、扱いは日本人と同様で、扶養控除等申告書を出していれば甲欄、出さなければ乙欄で源泉徴収します。
非居住者なら20.42%で源泉徴収します。たとえば月給20万円のスタッフなら、20万円×20.42%=40,840円を源泉徴収する計算です(給与所得控除や扶養控除は適用されず、原則として総額に課税されます)。租税条約の適用を受けるなら、「租税条約に関する届出書」を最初の支払いの前日までに提出してもらう必要があります。未提出なら国内法の率で源泉徴収されます。
ケース別の判断
留学生アルバイトの場合は、資格外活動許可により原則1週間に28時間以内という上限があります。これは税ではなく在留管理の論点ですが、超過は不法就労助長罪のリスクがあり、労務管理上必ず確認します。学生の給与が免税になるかは条約や国籍で異なり、一律ではない点に注意が必要です。
短期滞在者の免税(いわゆる183日ルール)もよく話題になります。ただし日数の数え方や期間の取り方は条約ごとに異なり、「暦年」基準のものと「いずれかの12か月」基準のものがあります。一律に「年183日」と断定しないことが大切です。
専門家に相談すべき境界線
居住者か非居住者かの判定が微妙なケース(着任年・出国年は特に)、租税条約の適用や学生免税の可否を判断するケースは、ご自身の判断だけで進めないほうが安心です。源泉徴収の誤りは、後から雇用主に追徴・加算税が及ぶことがあります。
条約の適用関係や国籍ごとの取扱いは複雑ですから、最終的には税理士・社会保険労務士へのご相談をおすすめします。採用の段階から相談しておくと、源泉徴収のミスを未然に防げます。
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参考・引用元
- 国税庁 No.2875 居住者と非居住者の区分: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
- 国税庁 No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2873.htm
- 国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収の税率(20.42%): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2884.htm
- 国税庁 No.2502 源泉徴収義務者とは: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm
- 国税庁 No.2888 租税条約に関する届出書の提出: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm
- 総務省 外国人の方の個人住民税について: https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/individual-inhabitant-tax.html
- 出入国在留管理庁 「留学」の在留資格に係る資格外活動許可: https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html