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法令

カード手数料を客に転嫁できる?

キャッシュレス決済が広がるほど、気になるのがカード会社に支払う手数料です。売上の数パーセントとはいえ、積み重なれば高額になります。「いっそ、カード払いのお客さまに手数料分を負担してもらえたら」と思うのは、無理もありません。でも、これには意外な落とし穴があります。ここでは、カード手数料をお客さまに転嫁できるのかを、規約や公的見解にそって一緒に整理していきます。

質問(Q)の整理

ご相談は、「カード客に手数料を上乗せして請求してもよいのか」「カードは一定金額以上から、と条件をつけてもよいのか」「現金なら値引き、というやり方はどうなのか」といった点に集約されます。似ているようで、実は扱いが違うのがこのテーマの難しさです。まずは、何が規約で禁じられているのかを見ていきましょう。

結論(A)

結論からお伝えすると、カード客に手数料を上乗せする(サーチャージ)ことは、原則としてできません。ただしこれは「法律で罰せられる違法行為」というより、「カード会社と結んだ加盟店規約に違反する」という位置づけが正確です。規約違反が発覚すれば、是正要求や、最悪の場合加盟店契約の解除(カード取扱い停止)につながります。「現金割引」は建付けが異なりますが、実質サーチャージと見られればリスクは残ります。

法的根拠

手数料上乗せを禁じているのは、VisaやMastercard、JCBなどカード会社・国際ブランドの加盟店規約です。規約にはおおむね、「カード会員に手数料を上乗せするなど、現金客と異なる代金を請求してはならない」という趣旨の条項があります。JCBの公式見解も、加盟店との契約で手数料の上乗せを禁じていると明記しています。

ここで大切なのは、これが「法律」ではなく「契約」による禁止だという点です。割賦販売法は手数料上乗せそのものを直接禁じてはいません。公正取引委員会は令和4年の「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」で、サーチャージとキャッシュディスカウントの定義を示し、ブランドが一律に価格差を禁じるルールが加盟店間の競争を減殺する場合は独禁法上問題となりうると指摘しています。ただしこれは競争政策上の議論であり、上乗せが解禁されたわけではありません。経済産業省も、手数料の透明化を進める一方で、サーチャージを正面から解禁する制度変更はしていません。

具体的な対応ステップ

まずは、ご自分の加盟店規約を一度読んでみることをおすすめします。「現金客と異なる取扱いの禁止」に関わる条項が、手数料上乗せや最低利用金額の可否を決めます。次に、手数料負担を軽くしたいなら、上乗せではなく、そもそもの価格設定や商品構成を見直す方向を検討します。どうしても負担が重い場合は、加盟店契約を結んだカード会社や決済代行会社に、手数料率の見直しを相談するのが現実的です。

ケース別の判断

表示価格に手数料を加えてカード客に高く請求する「サーチャージ」は、現金客と異なる代金請求に直接該当しやすく、規約違反となります。一方、表示価格を基準に現金客だけを値引きする「現金割引」は、形式上はカード客への加算ではないため、グレーゾーンとして厳しく問題視されにくいとされます。ただし実質は上乗せと同じなので、「名を変えたサーチャージ」と見られれば規約抵触のリスクは残ります。また、ポイント付与率を現金とカードで変えるやり方も、運用次第では同様の指摘を受けることがあります。「カードは○○円以上から」という最低利用金額の設定も、一般に規約違反となります。

専門家に相談すべき境界線

現金割引の建付けが規約上許されるか、キャンペーンや価格表示の仕方が適正か。こうした判断は、規約の文言やブランドごとの運用によって微妙に変わります。迷ったときは、まず加盟店契約を結んだカード会社・決済代行会社の窓口に確認するのが確実です。価格表示や景品表示法に関わる微妙なケースや、契約解除を予告されたような場合は、弁護士へのご相談をおすすめします。最終的には弁護士・専門家へのご相談をおすすめします。


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参考・引用元