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経営者コミュニティの作り方|孤独をほどく、ひとつのつながり
同業の集まりに顔を出すと、つい威勢のいい話ばかりしてしまう。「うちは順調だよ」と笑いながら、本当に聞いてほしい悩みは、喉の奥にしまったまま。家に帰れば、家族には余計な心配をかけたくない。スタッフの前では、不安な顔は見せられない。気づけば、店のことを本音で話せる相手が、一人もいない。経営者という立場は、たくさんの人に囲まれているのに、ふとした瞬間、ひどく一人きりに感じることがあります。
経営者の孤独は、あなたのせいではない
「孤独を感じるなんて、自分が弱いからだ」。そう思う必要は、まったくありません。経営者が孤独になりやすいのには、はっきりとした理由があります。
中小事業所の経営者を対象にした群馬産業保健推進センターの調査では、約47%が「経営者は孤独だ」と感じ、約45%が「従業員には弱気な面を見せられない」と答えています。立場上、弱音を吐けない。判断を間違えれば、スタッフや家族の生活に直結する。その重さを共有できる相手は、社内にも家庭にも、なかなかいません。同じ調査では、悩みの相談相手として配偶者や仕事関係の友人を挙げる人が多い一方、何でも話せる友人がいる人は約6割にとどまりました。裏を返せば、4割近くは、心から打ち明けられる相手を持てずにいるのです。
孤独そのものが悪いわけではありません。けれど、悩みを一人で抱え込み続けると、視野が狭くなり、心もすり減っていきます。だからこそ、意識して「つながり」を持つことが、経営を続けるうえで大きな支えになります。
利害のない仲間を、ひとり持つことから
仲間づくりと言っても、大げさに考える必要はありません。大切なのは、「売り込みでも、しがらみでもない関係」を、ひとつ持つことです。
たとえば、同じ地域の経営者が集まる場に、一度顔を出してみる。最初は気おくれするかもしれませんが、立場が同じ人どうしだからこそ、お互いに「分かるよ」と言える空気があります。商店街の寄り合いでも、業種の組合でも、きっかけは何でも構いません。
最近は、オンラインでつながる選択肢も増えました。SNSや経営者向けのコミュニティで、遠く離れた同業の人と本音を交わす経営者も少なくありません。リアルな場に出る時間が取りにくい飲食店だからこそ、こうした方法は相性がいいかもしれません。
ポイントは、「教えてもらう」より「分かち合う」つもりで参加すること。立派な成功談を持っていく必要はありません。むしろ、うまくいかない話を正直に出せる相手こそ、長く付き合える仲間になります。
専門家の視点:学び合いの場と、中立の相談先
全国には、経営者が学び合うための場が古くからあります。たとえば「中小企業家同友会」は、1957年に生まれ、いまでは全47都道府県に4万7千名を超える会員を持つ団体です。特徴は、講師の話を聞くだけでなく、会員自身が自社の経営体験を語り、参加者みんなで考え合うこと。同じ立場の経営者と、対話を通じて学び合える場です。
地域の商工会議所も、経営相談やセミナー、経営者どうしの交流の入り口になります。そして、「まず誰かに相談したい」という段階なら、国が設ける「よろず支援拠点」が頼りになります。利害のない専門家に、何度でも無料で相談できる。仲間づくりの前の、安心できる第一歩として活用してみてください。
どの場に身を置くにせよ、合う・合わないは必ずあります。ひとつ覗いて違うと感じたら、別を試せばいい。気負わず、自分が呼吸しやすい場所を探してみてください。
つながる場は、思っているより身近にある
仲間と出会える場は、特別なところにあるわけではありません。地域には、青年会議所やロータリー、業種ごとの組合など、経営者が集う場が古くからあります。最近では、飲食店の店主どうしがSNSのグループでレシピや悩みを交換したり、オンラインの勉強会で全国の仲間とつながったりする動きも広がっています。
大切なのは、「無理なく続けられそうな場」を選ぶことです。毎週の集まりが負担なら、月に一度ゆるくつながる場でいい。いくつも掛け持ちする必要もありません。心から「分かるよ」と言い合える相手が、たった一人いるだけで、孤独の質は変わります。
そして、出会った仲間との関係は、与え合うことで続いていきます。自分が助けてもらうだけでなく、相手の話にも耳を傾ける。うまくいかない話を正直に交わせる間柄こそ、いざというときに支えになります。気負わず、まずはひとつ覗いてみるくらいの気持ちで十分です。
同じ立場の誰かの声
ある飲食店の経営者は、思いきって地域の経営者の会に入りました。「最初は、商売の役に立つかな、くらいの気持ちだった」。けれど通ううちに、業種は違っても同じように悩む仲間ができ、苦しいときに電話一本で愚痴を言える相手ができたと言います。「数字が上がったわけじゃない。でも、あの人たちがいると思うだけで、もうひと踏ん張りできる」。
明日を、ほんの少し軽くするために
あなたが感じている孤独は、真剣に背負っているからこそのものです。けれど、その重さは、分け合っていいのです。同じ道を歩く誰かと「分かるよ」と言い合えるだけで、明日の足取りは少し軽くなります。
今日できることは、ひとつでいい。気になる集まりや窓口を、ひとつだけ調べてみる。その小さな検索が、孤独をほどく入り口になります。
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参考・引用元
- 群馬産業保健推進センター「中小事業所の経営者におけるメンタルヘルスの意識調査」 https://www.gunmas.johas.go.jp/health/research2007/
- 中小企業家同友会全国協議会 https://www.doyu.jp/
- 中小企業基盤整備機構「よろず支援拠点」 https://www.smrj.go.jp/supporter/yorozu/index.html
- 日本商工会議所 https://www.jcci.or.jp/