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比較・選択肢

デリバリー手数料を比較する|Uber Eats・出前館・menuの契約戦略

デリバリー手数料を比較する|Uber Eats・出前館・menuの契約戦略

飲食店がデリバリーを始める、あるいは見直す際に最初にぶつかる壁が「手数料をどう判断するか」という問いです。一口に「35%」と言っても、配達代行か自社配達か、月払いか週払いか、対応エリアは自店をカバーしているか——比べるべき軸は一つではありません。この記事では、2026年6月時点で国内主要3サービス(Uber Eats・出前館・menu)の手数料体系を整理し、業態に合った契約戦略を考えるための情報をまとめます。

この記事の情報は2026年6月時点のものです。 各プラットフォームの手数料率・キャンペーン内容は予告なく変更されることがあります。契約前には必ず各社の公式ページや加盟店窓口でご確認ください。なお、Woltは2026年3月5日に日本でのサービスを終了しています(出典:Woltニュースルーム、日本経済新聞)。

1. プラットフォームを選ぶ前に整理すべき4つの軸

デリバリープラットフォームの「合う・合わない」は、手数料の数字だけでは判断できません。契約前に以下の4軸を自店に照らして確認することをお勧めします。

① 手数料率と利益シミュレーション

売価の35%前後を手数料として差し引かれると、原価率30%の商品ではほとんど利益が残りません。手数料を払っても成立する価格設計ができるかを先に計算してください。「デリバリー価格=店内価格の1.4〜1.5倍」を目安に設定する店舗が多いですが、各社が推進する「お店価格(店頭と同一価格)」施策の普及により、価格乖離を最小化する動きも強まっています。

② ターゲット客層とユーザー分布

Uber Eatsは月間利用者数が最も多く、20〜30代の都市部ユーザーが中心です。出前館はファミリー層・40代以上の利用比率が比較的高く、地方都市にも一定の浸透があります。menuはPonta Passとの連携で、au・UQ mobileユーザーへの接触面を持ちます。自店のコア顧客像と照らし合わせてください。

③ 対応エリアと配達圏

Uber Eatsは2026年5月時点で47都道府県・516市区町村に展開し、直近も新潟・長野・山梨の12市町村へ拡大しています。出前館は全国最大の登録店舗数を誇り、地方都市での認知度が高い傾向があります。menuは2026年1月に関東・関西を中心に216エリアを追加し、拡大を続けています。ただし、いずれも市区町村全域をカバーするわけではないため、自店住所での確認が必須です。

④ 運用負荷(タブレット台数・注文管理)

各社専用タブレットが基本のため、複数社に登録すればタブレットが増え、注文管理の手間も増加します。この問題はHubsterやCamelといった注文一元管理ツールで対処できますが、月額費用が別途かかります。スタッフ体制と照らして判断してください。


2. 主要3サービスの手数料比較表(2026年6月時点)

※手数料率は複数の加盟店向け解説記事・業界情報を参照した参考値です。個別の契約内容によって異なる場合があります。必ず各社の最新の加盟店向け資料でご確認ください。

※Woltは2026年3月5日にサービス終了済みのため本表には含みません。


3. 各サービスの強み・弱み・適性

Uber Eats

強み

  • 国内最大規模のユーザーベースを持ち、新規顧客との接点が最も広い。
  • 週払い(毎週火曜)は資金繰りの面で大きなメリットになります。月初に食材の仕入れが重なる飲食店にとって、週次入金は実質的なキャッシュフロー改善策です。
  • セルフデリバリー(自社配達)を選べば手数料が約15%まで下がります。自前のバイクや配達スタッフを持つ店舗は積極的に活用できます。
  • 配達員のネットワークが充実しており、ピーク時でも配達の安定性が高い傾向があります。

弱み・注意点

  • 手数料率は出前館・menuと横並びの水準(約35%)で、特段安くはありません。
  • 店内価格との価格差を15%以内に抑えることをUber Eats側が推奨しており、値上げ幅に制限がかかります。「お店価格」施策の全国展開が進む中、価格転嫁で手数料を吸収する戦略は取りにくくなっています。
  • 都市部に強く、地方では配達員不足による対応困難エリアが存在します。

適性

  • 都市部の中〜高単価の専門店、新規顧客獲得を最重視する店舗、資金繰りを改善したい店舗

出前館

強み

  • 国内最大の登録店舗数(11万店以上)と知名度を持ち、地方都市での出前文化との親和性が高い。
  • 「お店価格で出前館」施策を2026年3月1日より全国47都道府県に展開。1万店舗以上が対象となり、送料無料キャンペーンも同時実施されました。対象店舗では注文数の増加が確認されています。
  • 自社配達(自前配達)を使う場合の手数料はサービス利用料の約10%のみで、手数料を大幅に抑えられます。
  • 2026年1月より、三井住友銀行以外の金融機関への振込手数料も出前館側が負担するよう変更されており、実質的なコスト負担が軽減されました。

弱み・注意点

  • 入金サイクルが月末締め翌5営業日以内(実質月1回)のため、資金繰りの面ではUber Eatsに劣ります。
  • キャッシュレス決済時に最大3.245%の決済手数料が別途かかります。現金対応の比率が高い業態では影響が小さいですが、完全キャッシュレス運営の場合は実質手数料が上昇します。
  • プラットフォームの営業時間は深夜2時頃まで(24時間ではない)のため、深夜需要への対応に限界があります。

適性

  • 地方都市・郊外エリアの店舗、自社配達手段を持つ店舗、ファミリー層・中高年層へのリーチを重視する店舗

menu

強み

  • 3社の中で手数料率が低い可能性があるとされる情報もありますが、公式の手数料率は明示されておらず、各種業界情報では配達の場合は約35%との記載も見られます。契約前に必ず加盟店窓口でご確認ください。
  • テイクアウト注文の手数料は約13%と低く設定されており、持ち帰り需要と組み合わせたい店舗には有利です。
  • Ponta Pass(KDDIが展開するサブスクリプションサービス、会員数約1,500万人)との連携により、Uber Eatsや出前館のユーザー層と重複しにくい顧客層へアクセスできます。
  • 2026年1月に関東・関西エリアで216エリアを新規追加し、カバレッジを拡大しています。
  • 日本国内の企業(menu株式会社)が運営しており、日本語でのサポート体制を評価する声があります。

弱み・注意点

  • 月間ユーザー数が約106万人(2024年5月時点)とUber Eats・出前館の4分の1程度にとどまり、注文数の絶対数では劣ります。
  • 入金サイクルが当月末締め翌月末払いと、3社の中で最も長い。入金額が5,000円未満の月は翌月に繰り越されます。
  • 振込手数料440円が店舗側負担です。月次売上が低い段階では相対的なコスト感があります。
  • タブレットをmenuからレンタルする場合、売上の3%が通信費として加算されます。

適性

  • KDDIユーザー層にアプローチしたい店舗、テイクアウトとデリバリーを組み合わせたい店舗、都市部で差別化を図りたい店舗

4. 業態別の推奨プラットフォーム

専門店(ラーメン・カレー・寿司など単品特化)

専門店はブランド認知が集客の核になります。ユーザー数が最も多いUber Eatsを軸に据えることで、新規顧客への露出を最大化できます。自社配達が可能な場合はセルフデリバリー(手数料約15%)を活用し、利益率を確保してください。単価が高めの専門店(客単価1,500円以上)であれば、35%手数料でも損益が成立しやすくなります。

居酒屋・夜業態

夜の時間帯が中心になる居酒屋は、深夜まで対応できるUber Eatsとの相性が良い傾向があります。ただし、アルコール類はデリバリーに向かない商材が多いため、フードメニューのみの提供になります。Uber Eatsは24時間対応のため、深夜需要を取り込みたい場合も安定した配達員供給が期待できます。出前館は深夜2時頃までの運営のため、深夜営業メインの業態には若干のカバレッジ制限があります。

カフェ・スイーツ系

カフェは客単価が低めになりやすく、35%の手数料が重くのしかかります。テイクアウトの比率を高めつつ、menuのテイクアウト手数料(約13%)を活用する選択肢が検討に値します。また、Ponta Passユーザー(比較的30〜50代のファミリー層が多い傾向)との相性も確認してみてください。デリバリー単体では成立しにくい客単価の場合は、デリバリーを集客の入口と位置付け、店頭誘導やリピート施策との組み合わせを設計することをお勧めします。


5. 契約戦略の判断フローチャート

Step 1: エリアカバレッジの確認

  • 自店住所でUber Eats・出前館・menuそれぞれの対応可否を確認する
  • 3社すべてが対応していない場合 → 対応している社のみで検討を進める

Step 2: 自社配達の可否

  • 自社配達手段(バイク・スタッフ)がある → 出前館の自社配達(手数料約10%)またはUber Eatsのセルフデリバリー(約15%)を優先検討
  • 自社配達ができない → プラットフォームの配達代行(約35%)が前提。手数料を吸収できる価格設計かを確認する

Step 3: 客単価と手数料の損益確認

  • 客単価2,000円以上 → 35%手数料でも利益が出やすい。複数社登録を検討
  • 客単価1,000〜1,500円 → 1社絞り込みで運用コストを抑えつつ、価格設定を丁寧に行う
  • 客単価1,000円未満 → デリバリー単体での採算が厳しい。テイクアウト比率を高めるか、menuのテイクアウト手数料(約13%)を活用する

Step 4: 入金サイクルと資金繰り

  • 月初の仕入れ資金確保が課題 → Uber Eats(週払い)を軸にする
  • 資金繰りの余裕がある → 出前館・menuの月払いでも問題なし

Step 5: 複数登録(マルチホーミング)の検討

  • 3社すべてに登録する場合 → 注文一元管理ツール(HubsterやCamelなど)の月額費用も含めて試算する
  • まず1社から始める場合 → ユーザー数最大のUber Eatsで運用実績を積み、判断材料を増やしてから拡張を検討する

Step 6: 3〜6ヶ月後に効果測定

  • 月次の注文数・客単価・手数料額を記録し、利益が出ているかを確認
  • 採算が取れない場合はプランの見直し(セルフデリバリーへの切り替えなど)または登録解除を判断する

6. よくある質問(FAQ)

Q1. デリバリーを1社に絞るか複数登録すべきか?

初めてデリバリーを導入する場合は、まず1社で運用を安定させることをお勧めします。複数登録すると注文数は増える一方、タブレット台数の増加やオペレーションの複雑化が生じます。最初の3〜6ヶ月で単一プラットフォームでの採算ラインを把握してから、複数登録への拡張を判断する方が現実的です。

Q2. 手数料35%は高すぎないか?価格設定はどうすればいい?

手数料35%を吸収するには、デリバリー専用価格を設定することが一般的です。ただし、Uber Eatsは店頭価格との乖離を15%以内に抑えることを推奨しており、出前館も「お店価格」施策を全国展開しています。価格乖離への許容度は各社で異なりますが、業界全体として「同一価格」への移行圧力が強まっている点は念頭に置いてください。

Q3. Woltは選択肢に入らないか?

Woltは2026年3月5日をもって日本でのサービスを終了しました。フィンランド発の同サービスは日本市場での競争激化・採算性の課題から、親会社DoorDashの「選択と集中」方針の下で撤退を決定しています(出典:Woltニュースルーム、日本経済新聞)。現在は新規加盟登録もできません。

Q4. 自社配達ができる場合、どのくらい手数料が変わるか?

Uber Eatsのセルフデリバリーでは手数料が約15%まで下がります。出前館の自社配達ではサービス利用料の約10%のみになります。仮に月の売上が50万円だとすると、配達代行(35%)と自社配達(10〜15%)では手数料だけで月10〜12.5万円の差が生まれます。配達スタッフの人件費・バイクの維持費と比較して判断してください。